2012年9月18日火曜日

「中国4,000年の歴史」 という幻想

歴史が機械じかけの歯車であれば、どんなに楽なことだろう・・
▲歴史は機械のように動かない・・
いまの日本の教育は、現実の日本を考える際に “全く役立たない” というお話。

・・特に、中国在住の友人が直面する現状を思い、重要と思う点のみ簡潔にまとめてみます。

19世紀の中国が 『百年内乱』 の様相だったという事実。・・これ、とても重要なんだけど、学校ではさっぱり教えてくれない部分なのね。ここが分からないと、以降の歴史がチンプンカンになってしまうほどに超重要。
・・といいつつ、ここでは詳細は省略しますから、関心のある人は、ぜひぜひ “白蓮(びゃくれん)教徒” “太平天国” のキーワードで検索してみてください。


そんなこんなの “清朝末期”。 すったもんだの混乱の中から 『中華民国政府』(1912~)が、 “中国” を名乗リ出す頃から、さらに ややこしいことになります。

1920年ごろから 『武漢国民政府』『南京国民政府』 などが続々乱立。・・いったい正式な政府はどこなのか?どこの国にも誰にも さっぱり分からない状況がはじまります。 

この時期から現在にまで続く問題のひとつは、現在のチベット・モンゴルなどはみな、この頃から一貫して “自分たちは独立国家” だと主張している点です。彼らは、自分たちを中国の一部だとは考えていません。自分たちは 「チベット国」 であり 「モンゴル国」 なのだと、いまも世界に向けてくり返し主張しているのです。

これは、現在の中国政府が “○○自治区” と呼んでいる地方を、すこし調べれば分かるはずなんですけど、こういった国々が独立国家であることを知っている人が少ないのはナゼか?というと、地図上の記載が中国領として描かれているから。・・と断言していいと思うのです。
つまり、世界地図を見る人の頭の中に、既成事実(きせいじじつ)として、「中国のチベット地方」 という “刷り込み” がおこなわれているから、です。

竹島や尖閣諸島、そして北方領土の問題を考える際にも、地図上の表記というものが、外交戦略上、とても大きな意味を持つことを、僕らは チベットやモンゴルの事例から、いま一度 真剣に検討し直すべき時代が来ているのです。


さて、1930年代になると、大きな政府を指向する 『国民政府』 に反発する形で、『北平政府』『広州政府』などの地方政権までが続々登場します。・・つまり、規模の大きな“たくさんの政府”が 「我こそ中国!」 と主張し、規模の小さな “たくさんの政府” が、これまたあちこちで 「我こそ真の中国なり!」 と主張し合うみたいな・・。

まさに 戦国時代まっ青の “政府乱立時代”。

20世紀に入って、世界中が産業革命以降の近代化に向けて突っ走る中、中国大陸では 乱立する政府が主権をゆずらない。・・おかげで、法律はバラバラ。通貨もバラバラ。制度もバラバラという状況が続き、あろうことか、それぞれの政府が税金を払えと迫るのです。そんな土地に住んでいる人たちの気持ち、想像するのもムツカシイ。・・というか、理解することは至難の業(わざ)でありましょう。

そして、そんな混乱のど真ん中で “日中戦争” と呼ばれる時代が幕をあけたわけです。


1940年代の中国は、“国共内戦” の時代と言ってもよくて、これまでバラバラだった政府が、自由主義を選ぶか、それとも共産主義に向かうのかのどちらかに傾き、大きな2つの流れが出来たわけです。分かりやすい図式でいえば、国民党vs共産党をめぐる 大激動期といった感じでしょうか・・。

この頃から、思想の違う人たちを国内から除外する “政府の実力行使”、粛清(しゅくせい)がはじまります。
こういった “粛清の時代” は、40年代末~50年代末まで続きますが、早い話、大陸の人たちにとって 自分の家族・一族以外みんな敵 としか思えないくらいの混乱が、各地で頻発(ひんぱつ)。この頃の状況は、いまの中東アラブ方面を想像すれば分かりやすいかも知れません。


内乱につぐ内乱で、貿易なんかできやしない。・・そうなると、経済が苦しいし。さあ、どうする?

中国各地には 他の国には見られない交易品が多数存在しますから、外国だって、できれば貿易は続けたい。でも、ゴタゴタに巻き込まれるのは御免こうむる。

というわけで、“租界” という地域が生まれます。

古い時代の中国と、近代国家としての中国への “変貌” を考える際に、この “租界” を研究することで多くのことが分かるのですが、なぜ、この時期の中国に たくさんの租界が存在したか?・・その理由、その遠因。「こうでもしなきゃ、やってられん!」的な、止むに止まれぬ お国の事情。・・ここが一番大切なんです。

こういった、この時期の “中国事情” は、冒頭にも書いたとおり、19世紀清国の状況から考えないと謎だらけになる。・・まして、日中戦争の背景なんて さっぱりワケが分からなくなってしまうのです。


いまの中国政府、すなわち 『中華人民共和国』(1941~) は、共産党を率(ひき)いる毛沢東(もうたくとう)が、1941年に建国を宣言したときに始まりました。つまり 共産国家 『中国』 なんて、この時までは存在しない、というのがポイント。

“建国” といえば 何やら言葉の響きはいいんですけど、ぶっちゃけ、各地に乱立する政府の中で、当時の大国、ソビエトの “軍事的援助” を得た毛沢東の勢力が、周辺国家と50以上の諸民族を武力で制圧したということになるわけで・・

この毛沢東の軍隊に追われたあげく、日本の戦争相手だった 『中華民国政府』 は、台湾に逃げたという事実は、ウルトラ超重要。だって、中華人民共和国と日本は、戦争なんかしてないっていう証拠なんですから。

現在でも 『中華民国政府』 と 『中華人民共和国政府』 は、お互いに “正当な中国政府はこっちの方だ” と主張しあっていることを、絶対に忘れないでください。

日本(関東軍)が敵と見なしたのは 『中華民国』 であって、現在の 『中華人民共和国』 ではありません。


現在の中国政府は、日本と戦った旧政権を国外追放し、逃げそこなった 『国民政府』 の人々、同じ国の数百万人の人間 (一説には数千万。・・詳細は “例のごとく” 把握困難なので、想像できないほどの多人数。“むちゃくちゃたくさん” ということで、これがホントの大量虐殺としておきます) を “血の粛清” をもって抹殺してきた政党政府です。
決して4,000年の歴史をもつ国家などではなく、同じ国の国民を惨殺し、自分たちの国の歴史や文化を “大革命” の名のもとに抹殺してきた80年の歴史しかない政府なのです。


ちょっと余談ですが、この時期の世界史は、過去の1000年スパンの出来事が半世紀の間に起こっているといってよく、私達の国 “日本” もまた、中国と同じように“複雑怪奇”な状況だったわけです。とても単純に解説できる人などいないでしょうし、もしいらっしゃるとすれば、それは大切な部分をスッパリ切り捨てた “歴史観” に違いないはずです。

・・当然、この記事もその例に漏れませんから、この点をよくよくご理解のうえで、各自ご研究くださるようお願いいたします。


実用に耐える歴史教育とは、ここ100年の “日本と周辺諸国” の関係について、1年の期間を割いてでも教えるべきでありましょう。現在のように、この最重要な、めっちゃ大切な期間を、まるで “空白期間” のように思わせてしまいかねない “手抜き教育” は、百害あって一利なしと思うのですがいかがでしょう?

そんな 今の教育って、“軍による思想教育” と いったい何が違うというのでしょう?

まして、あろうことか “手抜き教育” のかわりに “日本罪悪国家説” を 子どもたちの頭に、もっともらしく植え付ける歴史教育とは何なのか?誰のための教育なのか?さっぱり分からんちんなのであります。

その罪たるや 1,000年の後世に悔いを残すと確信。常在戦場(じょうざいせんじょう)』、『常在神前(じょうざいしんぜん)』 の心を忘れ果てているのが 今の日本教育界に違いありません。

・・ちなみに、僕は、いわゆる “ウヨク” という人種も嫌いですので、念のため。



1 件のコメント:

  1. おもしろかったです。素直に。センカク、タケシマ。
    日本に起きている問題として、今の日本の取るべき対応、態度さることながら・・・
    記事を読んでいて思ったのは、中国という国。
    私がシルクロードに旅行に行った時、ここはあきらかに中国とは違う文化があり、民族も違う。そう、モンゴル。
    いまさらですが、なぞが解けました。そう自治区でした。確かに。何のために領域を広げるのか・・・その必要があるのか。利権を得るために、言ったもん勝ちなのか?そういう行為を認めたら、それは一つにとどまらず、同じやり方でまた別の地域がもめごとの対象となる。
    日本の教育のありかたもよく問題になります。教科書問題しかり。人は自分の都合の悪い部分をあえてふれたくないからです。できるならふせておきたいからです。でも、気をつけなければならないのは客観的な真実を伝えること、考えまで誘導してはいけないということではないでしょうか。
    中国では、インターネットで検索しても検索できなくなったり、またこのデモがあってから情報操作が行われています。
    情報管理は大切なことかもしれません。なんでも、ながせばいいというものではありません。
    けれど、情報操作はあってはならないと思います。
    言葉の重みを感じます。情報を100パーセント信じるのではなく、自分自身で確認するということをこれからもっと必要になるかもしれません。
                 

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